ドイツの自家製瓶詰め豚ひき肉ソーセージ(メットヴルスト)の作り方

仕上がったメットヴルスト レシピ
仕上がったメットヴルスト、左:プレーン、右:キャラウェイシード入り

はじめに

日本でも有名なドイツ名物の肉料理として、直ぐに思いつくのは、何ですか。

それは、やはり、なんといっても、腸詰ソーセージでしょう。

しかし、ドイツには、ドイツ語で特に「メットヴルスト(Mettwurst)」と呼ばれる種類の豚肉のソーセージがあります。

この「メットヴルスト」と呼ばれるソーセージは、「腸詰ソーセージ」同様に、極めて多種多様です。

この記事では、その「メットヴルスト」中でも、特にゲハックテス(Gehacktes)と呼ばれ、ドイツは、テューリンゲン州名物の豚ひき肉を瓶詰めにして作るソーセージの作り方を紹介します。

ゲハックテス(Gehacktes)とは、ドイツ語で「細かくたたき切ったもの」、この場合は、「ひき肉」を意味します。

私は、このゲハックテス(Gehacktes)と呼ばれる豚ひき肉のメットヴルスト(Mettwurst)を1998年以来、自家製で作っています。

そして、是非とも当サイトの読者に、「内緒でこれだけは、教えたかった秘伝のレシピ」です。

このレシピによるソーセージ(メットヴルスト)は、保存食でもあります。

簡単にご家庭で、本場ドイツの自家製メットヴルストが、お楽しみいただけます。

このレシピとの出逢い

ご紹介するこのレシピは、私のドイツ人の友人の母から教えてもらったものです。

1998年のクリスマスに、テューリンガー・ヴァルト(Thüringer Wald=チューリンゲンの森)にあるこの友人の実家に招待されました。

テューリンゲンの森 - Wikipedia

ちなみに、この地方は、クリスマスの頃には、毎年深い雪に覆われます。

それは、まさに絵に描いたような、クリスマスの光景になります。

朝食時に、今回ご紹介する自家製のゲハックテスと呼ばれるメットヴルストを初めて頂きました。

スライスされたメットヴルストをパンにのせて頂きました。

お肉自体の旨味がよく引き出されたその素朴にして自然な味に、「これは、美味しい」と感動しました。

スーパーで販売されている市販の製品には、感じられない美味しさでした。

下宿に帰る日、お土産に数瓶頂きました。

また、レシピもこの訪問時に教えてもらいました。

今回ご紹介する「ゲハックテスと呼ばれる豚ひき肉のメットヴルスト」は、特に中部テューリンゲンに伝わるレシピです。

中部テューリンゲンのレシピの特徴の1つは、ソーセージにニンニクを加えることです。

このレシピに使用する瓶の選び方と準備

  • メットヴルスト用の瓶
  • メットヴルスト用の瓶
  • ドラッグストアに陳列されている瓶

瓶の選び方

瓶の形状

このレシピで非常に重要なのは、使用する瓶の形状です。

上の画像をご覧ください。

瓶の上部が細くなっていない、くびれていない、底部から上部まで完全に寸胴な瓶を使用する必要があります。

その理由は、次の通りです。

  • 均一に火が通ります。さらに、
  • メットヴルスト(ソーセージ)をそのままの形で瓶の中から「すっぽりと」取り出して、スライスすることができます。

瓶の蓋の内側に損傷がないこと

蓋の内側の金属部分に腐食や錆び、塗料のはげている箇所がなく、ゴムの部分が傷んでいない蓋を使用してください。

瓶の入手先

ドイツでは、この種類の空き瓶を大きなスーパーマーケットやドラッグストア、ユーロショップ(日本の「100円ショップ」に相当)の「家庭用品」コーナーで入手することができます。

通常、マーマレード用の瓶の隣などに陳列されています。

日本でも、恐らく大きなスーパーマーケットや100円ショップなどの「家庭用品」コーナーで入手できると思われます。

寸胴の瓶入りの市販製品を購入する

私の場合は、特に蓋に損傷が見られたら、市販の「メットヴルスト」を購入します。

そして、使い切った後に、瓶と蓋をきれいに洗って、保管しています。

スーパーで市販の瓶詰めメットヴルストを購入する方が(特に安売り・値引き販売の場合は)、空の瓶を購入するよりもずっとお得感があります。

瓶の準備

  • 使用する瓶を洗浄します。
  • 瓶をしっかりと乾かします。または、
  • 瓶内の水気をキッチンペーパーなどでしっかりと拭き取ります。

材料

  • 新鮮な豚ひき肉
  • 塩5g、白コショウ2g、ニンニク10g
新鮮な豚ひき肉(お好きな量)例:500g
塩(適量)例:5g
胡椒(適量)例:2g
ニンニク(適量)
例:
大きなかけらの場合、2かけら(ニンニクの味をより感じたい場合は、3かけら)。
小さなかけらの場合、3~4かけら(ニンニクの味をより感じたい場合は、5かけら)。
中部テューリンゲンに伝わるゲハックテスと呼ばれる豚ひき肉のメットヴルストの材料

実は、このレシピでは、お肉の量に対しての調味料の量は、正に「適量」、「いい塩梅あんばい」としか伝えられていません。

塩加減に関するアドバイス

スーパーにて市販で販売されているメットヴルストの塩分は、100gにつき2gから2,4gくらいです。

パンにのせたり、はさんだりして、野菜などの他の具材と一緒に食す場合は、肉100gに対して塩2gでも塩気は、あまり気にならないでしょう。

しかし、スライスしてそのまま食す場合、少し塩気が勝ちます。

肉100gに対して塩1gくらいの方が、より自然な塩加減になります。

ニンニクの量に関するアドバイス

ニンニクの量に関しては、肉500gに対して塩5gの場合に、大きなかけらのニンニクを3かけら(小さなかけらのニンニクを5かけら)を使用すると、ニンニクの味が多かれ少なかれ感じられます。

ニンニクの味が感じられない方がよいという方は、量を控えてください。

ニンニクの量も、塩コショウ同様、お好みに応じてご調節ください。

キャラウェイシードによる味変に関するアドバイス

キャラウェイシード
キャラウェイシード5g

追加的に、ドイツ語で「Kümmel(キュンメル)」、英語で「caraway(キャラウェイ)」と呼ばれる香辛料を使用する作り方もご紹介します。

キャラウェイシードの風味をご存じで、
お好きな方
250gのお肉に対して、キャラウェイシード10g位は投入してよいです。
キャラウェイシードを初めてご使用になる方や風味をあまりご存じでない方250gのお肉に対して、キャラウェイシード5g位でお試しください。
キャラウェイシードのさじ加減

キャラウェイシードは、ソーセージの風味に更なるキックを与えます。

これを加えると、テューリンガー(Thüringer)と呼ばれる腸詰ソーセージの中でも、特に東テューリンゲン地方の名物である「 キュンメル(キャラウェイシード)入りテューリンガーソーセージ」の風味を髣髴ほうふつとさせる「メットヴルスト」に仕上がります。

また、この風味がお好きな方には、クセになる味になります。

ご興味がある方は、キャラウェイシードもご用意ください。

作り方

  • 塩コショウを豚ひき肉に加える
  • ニンニクをすりおろして豚ひき肉に加える
  • 味付けした豚ひき肉をよく練る

種の作り方

  1. 豚ひき肉を入れたボウルに、塩、胡椒、すりおろしたニンニクを加えます。
  2. ボウル内で種をしっかりと練り合わせます。
  3. この時に、空気抜きをするように練ると、種を瓶に詰めやすくなります。また、
  4. 茹で上げたソーセージが空気だまりなく、より均一に仕上がります。

今回は、半分この種で、後の半分は、キュンメル (キャラウェイシード)入りのメットヴルストを作ります。

キャラウェイシードを加えた豚ひき肉
キャラウェイシードを加えた豚ひき肉
  1. 上の種に、お好みの量のキュンメル(キャラウェイシード)を加えます。
  2. キュンメル(キャラウェイシード)が種に均一に混じるように練り合わせます。

種の詰め方

  • スプーンで肉種を押しながら詰めていく
  • 瓶に詰めたメットヴルストの種

およそ、瓶の4分の3くらいまでの種を瓶に詰めていきます。

お勧めする種の瓶への詰め方のコツとしては、大匙のスプーンを使用します。

  1. 初めの2~3回は、大匙一杯分くらいの種を取り、瓶に詰めていきます。
  2. その都度、スプーンの腹でしっかりと上から種を押して、空気抜きをしながら詰めます。
  3. その後は、大匙半分くらいのより少量の種を取り、同様に上からスプーンの腹でしっかりと種を押して、空気抜きをしながら、種を瓶に詰めていきます。

このようにして、空気だまりを最小限に抑えながら種を瓶に詰めていくと、より均一的なメットヴルストに仕上がります。

茹で方

  • 瓶詰め豚ひき肉ソーセージ(メットヴルスト)に火を入れる
  • あら熱がとれたメットヴルスト
  • 仕上がったメットヴルスト
  1. 種を詰めた瓶の蓋は、しっかりと締めてください。
  2. 種を詰めた瓶を鍋に設置します*1)
  3. 冷水を鍋に注ぎます。
    1. この時、水は、丁度お肉の種が詰められた高さか、それよりも少し上の量を注ぎます。
    2. 瓶の蓋が水で覆われないよう、必ず瓶の蓋よりも低い高さの量の水を注ぎます。
  4. 90分間ゆっくりと火を入れていきます。
  5. 90分が経過したら、火を切って、あら熱がとれるまで、そのまま放置してください。
  6. あら熱によって、メットヴルストにさらにじっくりと火を通していきます。
  7. あら熱がとれたら、瓶を鍋から取り出します。
  8. 瓶内に、白いラードや透明の煮凝にこごりが目視できるようになったら、仕上がっています。
  9. 例えば、一晩寝かせると、仕上がっています。

*1)注:この際のおすすめ:私の場合は、多目的用シリコンマットをなべ底に敷き、その上に瓶を設置します。これには、幾つかの効果があります。例えば、

  • 温度がより均一に伝わる。
  • シリコンマットのグリップ効果によって、瓶がより固定される。瓶が倒れる事故を防ぐ。
  • 茹でる過程で、仮に温度が予期せぬ温度に上がってしまい、鍋の中で瓶が上下運動をしたとしても、音をたてたり、揺らいだりするのを妨ぐ。
  • 鍋の底を傷つけない。

このマットに関しては、「買ってよかったもの」として、別の記事でご紹介する予定です。

シリコンマットがなければ、なくても大丈夫です。

利用方法

瓶の蓋を開けるコツ

  • 多目的シリコンマットで瓶の蓋を開ける
  • 上方から見た仕上がったメットヴルスト
  • 瓶の蓋は、上述のシリコンマットやゴム手袋を使用すると、素手でなかなか開かない蓋を比較的簡単に開けることができます。
  • 瓶の蓋をお湯で温めます。ただし、この方法の場合、瓶内のラードが溶け出す可能性があります。

ソーセージの取り出し方

瓶から取り出したメットヴルスト
瓶から取り出したメットヴルスト

フォークなどでソーセージをさして、回すようにして引き出すと、瓶の中からソーセージをスッポリと取り出すことができます。

ソーセージの利用方法

お好みの厚さにスライスします。

  • パンにのせたり、はさんだりして頂きます。
  • おかずとして頂きます。
  • おつまみとして頂きます。
  • 油分(ラード)は、取り除いて、炒め物や料理に使用できます。
  • 副産物として多かれ少なかれ得られる煮凝にこごりは、絶妙な味です。これのみをパンやご飯にのせて頂いても、とても美味しいです。

豚ひき肉ソーセージ(メットヴルスト)と千切りキャベツのバゲットサンド

  • メットヴルストと千切りキャベツのバゲットサンド
  • キャラウェイシード入りバゲット
  • バゲットに千切りキャベツをのせる
  • 昆布酢をキャベツ上に適量加える
  • スライスしたメットヴルスト
  • メットヴルストをキャベツの上にのせる
  • メットヴルストと千切りキャベツのバゲットサンド

この豚ひき肉ソーセージ(メットヴルスト)の食べ方の一例を紹介します。

今日は、キャラウェイシード入りバゲットを用意しました。

  1. バゲットを半分に切ります。
  2. 下方のバゲットにバターを塗ります。
    1. これによって、キャベツから出る水気がバゲットに染み込むことを防ぎます。
  3. 千切りキャベツをバゲット上にのせます。
    1. 塩コショウを適量振りかけます。
    2. 私の場合は、別の記事でご紹介した「昆布酢」を適量加えます。
  4. スライスしたソーセージ(メットヴルスト)をその上に並べます。
    1. 写真左側は、プレーン、右側は、キャラウェイシード入りです。
    2. お好みに応じて、ケチャップや辛子をソーセージ(メットヴルスト)に塗ります。

ご家庭で簡単に、お安く、美味しいバゲットサンドが頂けます。

どうぞお試しを。

保存方法

ドイツの家庭では、地下室や貯蔵室にて、常温で保存しています。

温度が上がらない、暗い場所で保存してください。

塩や胡椒、ニンニクといった、極自然な調味料しか使用されていないので、スーパーなどで市販されているメットヴルストに比べると賞味期限は、短くなります。

保存条件が良ければ、少なくとも数カ月から6ヶ月は、常温で保存できます(調合する塩分量や調味料によって、異なります)。

開封後は、冷蔵庫で保存し、3日以内、遅くとも1週間以内にお召し上がりください。

おわりに

今回ご紹介した通称「ゲハックテス」と呼ばれる豚ひき肉の瓶詰めソーセージ「メットヴルスト」は、私にとって、ドイツ料理におけるソウルフードの1つです。

私が最も作っているドイツ料理の1つになります。

是非とも私のサイトの読者や訪問者に、「内緒でこれだけは、教えたかった秘伝のレシピ」です。

ドイツは、中部テューリンゲン名物のメットヴルストを、簡単にして安価、お気軽にご家庭でとても美味しくお召し上がり頂けます。

使用する瓶の形状にご注意ください。必ず、上部から下部まで、寸胴な瓶をご使用ください。

塩コショウやニンニクの量は、お好みのさじ加減を探求し、ご調整ください。

このレシピによるメットヴルストは、保存食でもあります。

しかし、私の場合は、作ったらまず数日内から1週間以内に食べきってしまいます。とっても美味しいので。。。

是非、お試しください。

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